ネエネエ簪

☆幼馴染の甘酸っぱさを否定する１☆

となりのこの妹はかず兄とたっちゃんのおじいちゃんとおばあちゃんとワイドショーを見るのが好きである。

☆幼馴染の甘酸っぱさを否定する２☆

となりのこがニヒル君とよく喧嘩をするのはニヒル君がかず兄のように言うことを聞かないからである。

仲良し３家族

となりのこが小学５年生、となりのこの妹さんが小学３年生のときの話。

となりのこのお母さんが夜勤のときに
いつものようにかず兄とたっちゃん家に泊まりに行ったときのこと。

かず兄とたっちゃんのおばあちゃんがとなりのこととなりのこの妹さんを小座敷に呼んだんだって。

二人が行くとかず兄とたっちゃんのおばあちゃんが大切にしているお着物やお着物の小物が
小座敷いっぱいに広がっている。

でね　かず兄とたっちゃんのおばあちゃんは
２人に珊瑚の簪をもらってほしいって言うの。

となりのこの妹さんは簪よりもそっちのビーズのバックがほしい
って言ったため
となりのこに『頭』を思いっきり引っ叩たかれる。

「いただけません。」ってとなりのこ。

でも　かず兄とたっちゃんのおばあちゃんは
「私たち夫婦がＫとＴ(かず兄とたっちゃんのこと)
にしてやれないことを２人(となりのこととなりのこの妹のこと)は
十二分に補ってくれているからどうしてももらってほしい。」
って言う。

そう言いながら涙ぐむ。

かず兄とたっちゃんのおばあちゃんに泣かれてとなりのこは
断れなくなる。

となりのこは珊瑚の簪を
となりのこの妹さんは不遜にもねだったビーズのバックをもらう。

かず兄とたっちゃんのおばあちゃんは
となりのこのお母さんには(となりのこととなりのこの妹が)大人になるまで
黙っていてほしいってとなりのこととなりのこの妹さんにお願いする。

簪をもらったとなりのこは
かず兄に今すぐ話したほうがいいのか　
それとも「大人」になってから
となりのこのお母さんに話すときに一緒に話したほうがいいのか迷う。

そんなふうに悩んでいるとなりのこがふと横を見ると
となりのこの妹さんがかず兄とたっちゃんのおばあちゃんから
もらったばかりのビーズのバックに
貝殻やら水石(海岸に打ち上げられる角が取れて丸くなったガラス片のこと)やら
小瓶に入った星の砂やら自称「宝物」をガラガラ詰め込んで
「かず兄　見て見て。(かず兄とたっちゃんの)おばあちゃんからもらったの。」
ってかず兄に自慢している。

かず兄は「チョッチョ似会うなぁ。」ってのんきにお世辞を言っている。

となりのこはとなりのこの妹さんの無神経さに呆れる前に驚いちゃって反射的に『頭』を引っ叩く。

となりのこの妹さんはとなりのこの脛を蹴って
かず兄の後ろに逃げる。

となりのこは逃げたとなりのこの妹さんを無視して
言い難そうにかず兄に珊瑚の簪とビーズのバックをもらった経緯を説明する。

かず兄は
「俺とたくがもらっても仕方ねぇし
お前とチョッチョがもらってくれればばあちゃん喜ぶし調度いいじゃん。
俺ら子どもなんだしお前あんまそういうこと気にしない方がいい。」
って笑いながら言う。

となりのこの妹さんは「そうだそうだ。」って言おうとしてかず兄の後ろから顔を出す。

でも　となりのこの妹さんは「そ」の字で止まって黙る。

となりのこがほろほろって涙流したのを見ちゃったから。

「バカ　何泣いてんだよ。」ってかず兄。

となりのこの妹さんはかず兄の背中からそっと抜け出すと
となりのことかず兄を後に残して布団にもぐりこむ。


「『鬼の目にも涙』って言いたかったんだけどさ　
言ったらお姉ちゃんじゃなくてかず兄に叱られそうな気がしてさ。
静かにフェイドアウトしといた。」ってとなりのこの妹さん。

なんで　こんな話をしたかっていうとね
あたし　学校の行事でコサージュ作ったの。
で　あたしとなりのこの妹さんにあげたんだ。

となりのこは「こだまのお母さんに贈れ。」って言ったけど
あたしのママ　コサージュいっぱい持ってるもん。

だからいつも学校の話とかミニバス(ミニバスケットボール部)の話をしてくれる
となりのこの妹さんにもらってほしかったの。

となりのこの妹さんはスゥゴク喜んでくれて
「私の『宝物入れ』につける。」って言って
かず兄とたっちゃんのおばあちゃんからもらったビーズのバックにつけて
あたしに見せに来てくれたの。

あたしね　この話を聞いて
かず兄とネエネエとたっちゃんとチョッチョが
ちょっとだけ羨ましかったナ。

ネエネエ簪

(となりのこ　　　かず兄)

チョッチョにあげる。

(こだまちゃん)