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ルビーの妹 [   次はここ⇒代筆はとなりのこの妹]

 私はとなりのこの妹。名前は12ヵ月のうちのどれかよ。当ててみて。そう難しくはないと思うわ。まず12月はのぞいてもいいんじゃないかしら。『師走』だなんていくらなんでも名付け親のセンスを疑っちゃうでしょ?
 私はこだまちゃんの友達よ。となりのこ、つまり私の姉がこだまちゃんと一緒の病院に長期入院していたことから知り合ったってわけ。こだまちゃんは私の姉が大好きだったわ。っていうかほとんど崇拝してたんじゃないかしら。私からするとかなりいいかげんなお姉ちゃんなんだけれど。これから私が書くのはこだまちゃんの日記。彼女に頼まれたってわけ。一年半前に開設したブログを引き継ぐ形でね。人は誰もが自分のことを知ってもらいたいものみたいね。もちろん日記って言ってもかわいらしい鍵付きの日記帳に手書きしてあるわけじゃない。全部パソコンに保存してあるわ。時代って進むものね。まるで止まることを知らない大きなうねりの中で航海している開拓船ね。これからどこへ進路をとるのかしら。海図は過去を参考にするしかないわよね。舵取りは私たちひとりひとりが取っているはずなんだけれどどうなのかしらと思うときもあるわ。
 こだまちゃんの日記は面白いのよ。友達だから言うんじゃないわ。掛け値なしで面白い。
『アンネの日記』みたいでしょ?ってこだまちゃんが言ってた。アンネよりずっと恵まれているけれどねって。冗談めかして言ったのだと思うけれど、でもわからない。こだまちゃんいつでも本気のことしか言わなかったし。真っ直ぐすぎるのよね。子供だからかしら?でもそれは関係ないわね。こんなこと言っている私も傍から見れば子供なのだし。子供ってけっこうものを考えているし狡さも持ってる。要するにそういう性格なんだわ。
私の部屋の窓辺には小さな鉢植えが置いてあるの。『ミロッティ』っていう品種のサボテン。絵を載せておくね。朝日が昇ると太陽の光を求めて精一杯葉を伸ばすの。グゥーッとね。ああ、生きている、見るたびにそう気づかされるの。当たり前のことなんだけれどなぜだか泣きそうになるわ。(生命の神秘に魂が打ち震えているとでもいうのかしら?でもこれは私の言葉じゃないわね。)なんでサボテンの話をしたかっていうとその光に向って全身を傾けて葉を上に上に伸ばしている様子がこだまちゃんと重なるのよ。こだまちゃんがぎりぎりまで背伸びして太陽に向って両手を伸ばしている姿とね。実際こだまちゃん太陽が大好きで病院の屋上がお気に入りの場所だった。私のお姉ちゃんも屋上が気に入っていたけれどこだまちゃんは朝日が好きでお姉ちゃんは夕日が好きだった。
『アンネの日記』のアンネは悲しい結末を向えてしまったわけだけれど彼女が必死で生きたことには何か意味があるわ。アンネは一つの例ね。誰もが何かの物語りの主人公だっていうことの。
 こだまちゃんは自分の日記を私が素晴らしくステキに紹介してくれると信じていたわ。私が文を書くのが好きでそればかりか文才があると思い込んでいたから。たぶん私がお姉ちゃんにたくさん手紙を書いていたからね。でも実際は違う。作文も感想文も大の苦手。読書感想文なんて聞いただけで逃げ出したくなっちゃう。お姉ちゃんへの手紙には話し言葉で話したいことを書きまくっただけ。いわば携帯の代わりよ。だって電話もメールも駄目なら昔ながらの方法に頼るほかないでしょう?残念ながら古風であっても趣きあふれるものとは程遠かったわ。でもこだまちゃんが私を編集者に任命してくれたのだから張り切ってやるよりほかないわ。明るさ全開のこだまちゃんをひとりでも多くの人に知ってもらいたいしね。 
 
ミロッティ.jpg















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