水曜日の人

Ｋ先生ととなりのこの妹

「水曜日の人」の話をするわ。
水曜日になると内科の待合室に必ず来る３０歳後半くらいの女の人がいるの。

別に病気じゃないわ。

水曜日担当の先生に会いに来るの。
３年前からいる若い男の先生なんだけど背が高くってスゥゴクハンサムでかっこよくて
看護士さんたちにも人気ものだわ。
あたしも好き。
よく声かけてくれるし肩車してくれたこともあったわ。

それにナントナクあたしのお兄ちゃんに似てるの。
あたしのお兄ちゃんは今大学生。
歳が離れてるでしょう？

あたしは病院だし
歳も離れてるから一緒に遊んだりしたことがあんまりないの。

「水曜日の人」は先生に会いに来るっていってもただずっと待合室に座ってるだけなの。
お目当ての先生を見かけるとニコニコ笑らって「先生！」って声かけるわ。

「水曜日の人」のことは　ここの病院にいる人はみんな知ってるわ。

有名よ。

だって服装がすごいんだもの。
いつもレースがいっぱいのヒラヒラドレスでヒラヒラの白い日傘を持ってるの。
髪型もすごいわ。
いわゆる縦巻きロール。
それにフランス人形みたいな大きなリボンか変わった帽子をつけてるの。

頭が少しイカレてるんだってみんな言ってるわ。
「可愛そうな人だから追っ払えない。」って大人の人が言ってるのも知ってるの。

確かに変わってるけど　あたしは嫌いじゃないナ。
いろんな人がいるから世の中楽しいんだと思うもの。

となりのこは「水曜日の人」を見て唖然。
「そのイケメンせんせはゴスロリ趣味なのかっ？」って一言。
ううん　先生はゴスロリ趣味じゃないわ。純粋に「水曜日の人」の好み。

「イケメン」先生は水曜日の人を見ると困った顔して「こんにちは。」って笑ってるわ。　

そうそう　この先生もあたしのこと「こだまちゃん」って呼ぶようになったの。
「変わったルーキーが来たな。」ってとなりのこのことも気に入ったみたいよ。

思いをあなたに

(水曜日の人)